“唾液”が持つ8つの力がすごい!シワ改善やメンタル強化など〜その3
3回にわたり唾液のすごい力を説明してきましたが、今回が最後の8番目の力の説明です。前回までは脳や体、胃腸や粘膜といった場所への意外だけど凄い力について書いていますが、今回は歯科医として一番大切な“歯”への凄い力をご紹介します。
(前回までの記事をご覧になられていない方は、ぜひ前回の記事からご覧下さい)
その1 https://www.648-7048.com/blog/post-45/
その2 https://www.648-7048.com/blog/post-46/
⑧虫歯を予防する
食事をすると口の中が酸性に傾き、酸に弱い歯が溶け出したり虫歯のリスクが高まります。これを防いでくれるのが唾液に含まれている重炭酸塩という成分です。重炭酸塩は酸性に傾いた口内の環境を中性に戻してくれます。これを緩衝作用と言いますが、唾液の量が減るとこの力は弱まる傾向にあり、虫歯のリスクも高まります。歯のケアをしているのに虫歯になりやすいという人は、唾液の量が足りていない可能性も考えられます。
その他にも
- 自浄作用:汚れを洗い流し、口臭や虫歯・歯周病を予防してくれる
- 再石灰化作用:虫歯菌により溶けかけた歯を修復して強くする作用
- 消化作用:糖を分解して細かくする消化酵素(アミラーゼ)の作用
- 湿潤作用:口の中を保湿してくれる作用
があります。
もし唾液が出なくなってしまったらどうなるのでしょうか?
虫歯や歯周病が多くなる
口臭がひどくなる
味を感じなくなる
口の中がピリピリした感じになる
体調を崩しやすい体になる
など多くが挙げれらます。
この唾液をしっかり出すための一番の秘訣は、「よく噛み、よく話し、よく笑う」ことです。唾液腺は使わないと段々と機能が弱まってしまいます。唾液腺の周りには顔の大きな筋肉がついているので、筋肉を動かして唾液腺に刺激を与えましょう。
もう一つ重要なことは「鼻呼吸」をすることです。お口ポカンの人は唾液がいっぱい出たとしても、すぐに乾燥してしまい唾液の効果が十分に発揮できません。
さて、3回にわたり唾液に含まれる成分の凄い力について書いてきましたが、いかがでしたでしょうか?唾液が出るということは口の中だけではなく、全身にとっても大切なのことです。最後に唾液の種類についての話を付け加えたいと思います。
唾液にはネバネバ唾液とサラサラ唾液の2種類があります。
緊張した時などは口の中がネバネバして喋りにくかったり、楽しい食事の時はサラサラの唾液がたくさん出て食べ物が美味しく感じます。
ネバネバ唾液の正体は糖タンパクのムチンです。「⑤胃腸や口内の粘膜を守る」にも登場したムチンは、口の中や胃腸などの粘膜の表面を覆って保護してくれる役割があります。唾液腺は自律神経の支配を受けていて、交感神経が優位になるとムチンが増えます。交感神経は戦いの神経です。原始時代には外敵との戦いで口の中が傷だらけ、できるだけ防御しようとムチンが口内を保護するという反応が起こったと考えられます。ストレス時にはムチンが多いネバネバ唾液が体を守り、リラックス時にはムチンが少ないサラサラ唾液が味覚の感度を高めて消化を促します。どちらの唾液も生きていくには必要な唾液なのです。